東急キャピトルタワー
緑の丘に同化する
緑の丘に同化する

敷地は山王日枝神社が鎮座する丘の一部に相当する。今回の全面的な建て替えを伴う開発計画においても、従前の建築計画の考え方が継承され、丘と同化した建築によって形成されるランドフォームは、日枝神社の森から続く緑の受け皿となり、立体的な庭園を創出する基盤となった。

西側に配置された別棟の屋上部分ならびにその周辺は、十分な深さの植栽基盤を確保したうえで、高木から低木、地被に至るまで四季折々の多様な植栽をほどこし、そこからタワー3階レベルまでの高低差を法面による連続した造形とした。この部分では、植栽されたアカマツの疎林を含めて、伝統的な日本庭園でいうところの「野筋」に近い景が形成され、それがそのまま池の水面に流れ込むかのようなイメージをめざしている。さらに、日枝神社から続く立体的な緑は、街路レベルの緑や隣接する街区の緑へとつながり、かつて「溜池」と呼ばれた低地部分に豊かな緑を湛えているように見える。また、別棟2階レストランのダイニングスペースからは、露地風にしつらえた庭に直接出ることができる。ここでは、屋上緑化によってつくられた庭園を超えて、日枝の丘やタワー基壇部と連続する大地の趣をもった景観を呈している。

このような庭と緑の連続体は、その中を散策することのできる動線とともに立体回遊庭園と呼ぶことができるような空間の構成となっている。

住所:東京都千代田区
規模:7,938m2
竣工:2010.10
事業主:東京急行電鉄
協働/建築:隈研吾建築設計事務所、岩井達弥光景デザイン事務所
受賞:環境・設備デザイン賞,環境デザイン部門,優秀賞(2012)
   屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール,国土交通大臣賞(2013)