パトリ+KMOPA
周辺環境との対話
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周辺環境との対話
前に富士を見、後ろに八ヶ岳を背負い、アカマツやカラマツ、シラカバの樹林に囲まれた南下がりの緩やかな斜面が敷地である。建築の形態は、この豊かな環境を様々なかたちに変換して、プラグインするための場を提供している。あるところでは水平に、あるところでは垂直に、閉じ、開き、透かし、枠どられた空間が、そこかしこにちりばめられている。およそ、建築が外部と接するところでは、すべて何らかのかたちで、周辺環境との対話が発生しそうな状況にある。
建築に打ち抜かれた3つの小さな光庭は、壁面に囲われ、上方に開かれた天空だけが、周辺の環境とコミュニケートする回路を提供する。斜面の上段に位置する2つの空間は、水と草という、周辺の環境を抽象する要素を媒介として見る者の感情に振幅をもたらす。外部に対して水平に開かれた空間では、周辺から浸潤するかのように配られた緑、建築の壁体によって縁どられた緑が主役である。時の経過がもたらす空間の成熟、時のサイクルを示す季節、そのいずれもが緑の変容を通じて発現するのである。
住所:山梨県北巨摩群
規模: 18,642m2
竣工:1995.03
協働/建築:栗生総合計画事務所