パークシティー弦巻

土地のコンテクストを環境の価値へ

既成市街地には、その土地とそこに関わってきた人々の営為の相互作用の歴史が土地のコンテクスト(地脈)として蓄積されています。新しい居住地の開発事業では、この土地のコンテクストが現代的な文脈に読みかえることによって再生され、新しい価値の創造が地域環境の再編を無理なく先導することができます。屋外環境のデザインは、地脈を読み替えるための具体的な手段であり、それによって地域の環境資源が新旧の住民に等しく共有される環境資源となります。

 アーバンインフィルをヒューマンインフィルに

既成市街地の中に小さな入れ子である集合住宅を挿入することは、同時に長年にわたってそこに生活してきた人々のコミュニティの中に、異質な要素を投入することになります。屋外空間は異質な空間領域の境界や接点にはばをもたせるとともに、両者の空間領域が多様なスケールで相互貫入する状況を媒介する重要な要素のひとつです。屋外空間の環境デザインは、アーバンインフィルである開発事業を、同時にヒューマンインフィルの場に変換するための試金石となります。

 コンセプトへの展開

  • インフィルのためのスケルトンを想定する
    ・地域のランドマークとして位置づけられてきた丘の上の給水塔のシルエット
    ・微地形に対応して自然発生的に形成されてきたヒューマンスケールの細街路の
     ネットワーク
    ・公園緑地、駐車場、公園、住宅の庭などによって形成される”すきま”の多い市街地
    ・公園緑地やその他のオープンスペース、個々の住宅敷地の中に育まれてきた緑
  • ”すきま”を顕在化させる
    ・ランドマークで給水塔が垣間見える視線と視点場を形成する
    ・周辺の街路と敷地内部のオープンスペースが空間的、視覚的に相互貫入する状況を
     演出する
    ・視覚的な透明性を高める建築立面を形成する
  • 空間のボリュームを分節・拡散させる

住所:東京都世田谷区

規模:15900m2
竣工:200103
事業主:三井不動産