GINZA SIX GARDEN
銀座は、近代のとば口に立った東京において、洋の東西が最初に交錯した街です。そのことは、明治初期に建設された銀座煉瓦街に沿って植えられた街路樹(西洋)に、日本庭園の伝統が息づく江戸時代の大名庭園(東洋)に多用された樹種が選ばれていたことにもあらわれていました。GINZA SIX GARDEN は、このような「近代史の文脈」のもとで語られることの多い街のイメージを、地上14階のレベルに創出された「現代の地脈」において再生しようと試みたものです。
江戸の庭園文化を継承するSKY GROVE (中空の木立)
中空に浮かぶように配された南北の木立には、江戸の大名庭園を彩った多様な樹種による植栽をほどこし、うつろう日本の季節を表現することをめざしました。北側の木立では数種類のサクラを中心として、南側の木立ではモミジを中心として疎林を形成し、春と秋でそれぞれ異なる季節感を醸し出すしつらえとしています。穏やかな高低差をほどこした林床には、様々な潅木や地被植物を植栽するとともに、通路に沿ってベンチや縁台を配することによって、ゆったりと時間を過ごす中で四季のうつろいを感じることのできる環境を整えています。
西洋の広場文化を継承する芝生と水盤
中央には、全く同じ寸法と形状ながら、全く異なる表情の2つの広場を一対のものとして並置しました。北側には欧米の公園ではかならずみられる芝生のフラットな面を、南側にはわずか5mmの厚みに抑えた水膜がゆったりと流れる水盤(水桟敷)をしつらえ、水の音やきらめく光とともに広場の中に動きをもたらします。また、この水盤には人が入り込むことを想定していますので、水に触れることのできる場でもあります。さらに、水盤の水の流れを停止することによって、2つの広場を連続する一体のものとして、様々なイベントなどに利用することができます。
回遊のみち
GINZA SIX GARDENのもうひとつの特徴は、2つの街区にまたがって開発されたことのメリットを屋上においても活かし、建物全体の外周部をぐるりと一周できる回遊のみちを設定したことです。江戸の代表的な庭園様式であった池泉回遊のロジックを転換し、回遊のみちから外を眺めることに主眼をおいた計画です。このみちをたどることによって、銀座を中心として現在の東京の街を、ほぼ360度で眺望することができます。この場所を訪れた人たちの一人ひとりに居心地のよい「お気に入りの場所」をみつけていただき、幾度となく足をはこんでいただくことができればよいでしょう。
住所:東京都中央区
規模:9,080m2
竣工:2017.04
事業主:銀座六丁目10地区市街地再開発組合
協働/建築:
銀座六丁目地区市街地再開発計画設計共同体
(鹿島建設株式会社、谷口建築設計研究所), LPA
受賞:SEGES (つくる緑)認定、第17回 屋上・壁面緑化技術コンクール 国土交通大臣賞(2018)