宇治のアトリエ

室内から東側には、伽藍の屋根と宇治川対岸に連なる山々の稜線が遠望され、高さを抑えた西側の地窓からは、庭の石と緑に手が届きそうに見える。室内を介した遠景と近景のコントラストは、この土地の場所性を浮かび上がらせる。床の高さと開口の位置によって視線をコントロールする建築の配置は、そのための布石のようなものであったかもしれない。そのように感じたからであろうか、西側の庭で、石や緑の形態よりも質感を大切にしようとしたことは、とても自然であったように思う。

石については、色やテクスチャーの落ちつきを求めたので、いわゆる「古材」を組み合わせることになった。植栽もできるだけ個々の形ではなく、面の質感を出そうとした。その中で、株立ちのヤマザクラだけが存在感を際立たせている。

住所:京都府宇治市

規模:327m2
竣工:2009.03
事業主:宮城俊作
協働/建築:長坂大(Mega)