このホテルの敷地は、8世紀に起源をもつ日本の古都・奈良の歴史的環境と景観が広がる地域をカバーする日本最古の公園の一つ・奈良公園のただ中にある。この土地の潜在的な環境の価値を現代的に再生・表現することがランドスケープデザインの最も重要なコンセプトであった。樹齢100年を超える数々の樹木群、斜面を覆う竹林など、既存の植生が醸し出す雰囲気を最大限に保全できるような建築の配置によって、多くの客室からの眺望はさながら山居の風情を呈し、その中を散策することは、ゲストだけに許された特別な体験である。一方、レセプションとラウンジの背景をなす矩形の中庭は、伝統的な日本の庭を構成する緑や水で彩られ、訪れる人々に上質なセンス･オブ･アライバルの体験を提供してくれる。