川口並木元町近隣公園
地域イベントの受け皿
地域イベントの受け皿

この公園は、疎林広場・水景施設(ウォータープレート)・芝生桟敷・石敷き広場を周辺の土地利用に合わせて並列に配置し、併設するアートギャラリーの屋外展示や、夏祭りなどの地域イベント等の様々な利用を考慮した空間構成となっている。

地区西側の幹線道路沿いに面する疎林広場は、どこからでもアクセスできる空間のイメージをつくりあげるために、枝下の高い樹種選定を行い、視覚的な透過性(見通しの良さ)を確保した開放的な広がりを実現している。また、自然豊かな疎林のイメージを醸成する足元の土舗装は、樹下空間で想定しているアートの屋外展示によるフレキシブルな利用にも対応できる。

ウォータープレートは、かつてビール工場が立地するほど良質な水資源が豊富であったこの場所の地歴をモニュメンタルに伝える水景施設であり、夏場は子供の遊び場として賑わいを見せている。この地区では、近隣公園と他3つの街区公園とで遊び場を連担し、それぞれ特徴のある遊び場空間を実現している。

アートギャラリーにむかって緩やかに傾斜する芝生桟敷は、園内の憩いの場でありギャリラー前のウッドデッキとともに、建物の前庭的な空間にもなっている。

地区の主動線のひとつである歩行者専用道路(アクティブモール)沿いの石敷き広場では、各種イベントを想定しており、沿道の商業施設からのアクティビティティーをも受け止めるフラットな舗装空間となっている。

また、地区外の市道から近隣公園へまっすぐ延びる園路の先に、高さ10mの時計塔をアイストップとして配置し、傍らにある同じく高さ10mのシンボルツリー(シラカシ)の生長を印す物さしにもなっている。その他にも、リボンシティのロゴをモチーフにした花崗岩のオブジェや、安行ザクラの花びらをかたどった舗装パターン、ビール工場の面影を残す仕込み釜、地場産業を積極的にデザインに取り入れたものとして、安行の伝統的植木技術を伝える仕立物(曲げもの)、川口鋳物によるベンチ、ツリーサークル、手洗いなど、それらが点景となってこの公園に個性を与えている。

住所:埼玉県川口市
規模:11,000m2
竣工:2006.03
事業主:UR都市機構
協働/建築:岩井達弥光景デザイン事務所、芹沢光彦建築計画工房
受賞:都市景観大賞優秀賞(2007)