岡崎市立美術博物館
風の軸と水の軸
風の軸と水の軸

屋根、谷、斜面、という美術博物館の建築が置かれた場所の特性を読み解く作業を経て設定された2つの空間軸には、それぞれの場の特性を代表する媒体を通じて意味づけがなされている。尾根筋の軸は、通り抜ける大気の動きをうけとめ、様々な媒体を通じてそれを体感するという意味から「風の軸」、尾根を横断する軸は地形の高低差によって生まれる様々な水の表情が軸沿って連続し、最終的に南側の池の水面に至るという意味から「水の軸」とされた。

 風の軸では、尾根筋の直線的な園路に沿って8基の風力発電の風車、ユリノキの並木、クマザサの斜面、ミストボウルがそれぞれ風を受けとめて様々な表情を見せる。一方、水の軸はアプローチ沿いのウォールを流れ落ちる水を基点とし、風の軸との交点に設置されたミストボウル、流水紋がほどこされた2つの浅い水面、階段を流れ落ちるカスケードを経て池の水に至るのである。

住所:愛知県岡崎市
規模:30,000m2
竣工:1996.03
事業主:岡崎市
協働/建築:栗生総合計画事務所