南三陸町震災復興祈念公園
山・海・街のあいだに
山・海・街のあいだに
海抜16.5m、これは東日本大震災の時に南三陸町志津川地区を襲った津波の高さである。公園の中央部を占める「祈りの丘」は、発災時に一時的な避難地となり得る高さ(海抜20.0m)を確保するために造成した避難築山であるが、その頂上のすぐ下では、16.5mの等高線に沿って「高さのみち」が丘をぐるりととりまく。眼下には骨格構造だけが遺る旧防災対策庁舎が見え、被災直後には足下の高さまで水面が迫っていたことが想像できるだろう。丘の頂に上がれば、志津川湾に浮かぶ荒島と椿島の島影が重なって見え、その先には太平洋の水平線が延びる。左手には、震災遺構の背景をなす新しい市街地が八幡川を隔てて広がり、振り返ると町を取り囲むように連なる山々の稜線が鮮やかなスカイラインを描いている。海と山、そのあいだの街、古より南三陸町の人々の生業をささえ、暮らしの中で常に意識されてきたこれらのモノとコトの関係を、一望のパノラマの中に感じ取ることができるはずである。
住所:宮城県本吉郡南三陸町
規模:62,900m2
竣工:2020.10
事業主:南三陸町
協働/土木:玉野総合コンサルタント
/サインデザイン:ジオ