飛騨高山美術館
丘の再生
丘の再生

飛騨高山という、豊かな自然と伝統文化に育まれた独自の景観をもつ街において、「美はトータルなものである」というコンセプトのもとに、ガラス工芸と家具を中心としたヨーロッパ世紀末芸術のコレクション、それらを包みこむ建築、ランドスケープが一体化することによって、美術館が座する場に新たな息吹をうみだす「丘の再生」を試みた。

美術館へのアプローチと駐車場を一体的に計画することによって生まれたフロントガーデンは、なだらかな丘になじむ曲面によって構成され、そのフロアは、樹々の間に車を停めることのできる庭である。車を停めて丘に降り立った時から、人も車も風景の一部になる。一方、丘の最奥部に位置する庭は、この丘のもうひとつの主役である豊かな自然とわれわれをつなぐ場である。垂直性を表現する石積みのウォールは、街の背景をなす北アルプスの稜線を借景として取り込む見切りであり、水平性を表現する石舞台とともに常にそこにとどまり、庭の景に骨格を与える。

住所:岐阜県高山市

規模:17,694m2
竣工:1997.03
事業主:(株)紀文
協働/建築:KAJIMA DESIGN